ものぐさのおと

おじさんのひとりごと

読感 失敗学と創造学

品質保証について語られるとき、たまに紹介される本なので気になって読んでみました。

この本の副タイトルは、守りから攻めへの品質保証へ、です。攻めの品質保証、これはよく聞く言葉なので、著者の言葉ではなさそうです。

初めは容易な内容で語られ、入りやすかったです。著者が自由に自分の日々の思いを語っています。失敗を共通のもの(他に生かすもの)とするためには、「上位概念に遡り知識化する」ことの重要性が登山の事例などを挙げて、説明されています。

読み進めるとだんだんヒューマンエラーの未然防止についての頭の使い方に話が進みます。でも、頭の使い方を言われても、私のようなバカには正直分かりずらい。やがて破壊試験、加速試験と話が続く。こうなるとなかなかついてゆけない。電気系に偏っている。

大手電気メーカーの開発設計しか経験のない著者が品質保証部を応援しているが説得力がない。著者にいう品質保証部が元気になる方法とは、設計部以上に設計を理解し、不良を定量評価し、加速試験法、信頼性設計法、過去の分析を行うこととらしい。いつか会社を救い、影で誰かが感謝するからだという。

品質保証部はそこまで暇じゃ無いんです。影の感謝なんで期待していませんよ。QMSは無駄だとうそぶく幹部、手を抜く技術者、思いこみで作業するオペレータ、品質保証はそれらと日々戦っているんです。

ここまで読んできた品質保証の人たちはさぞがっかりしただろう。安全なところから火中の人に向かって、頑張れ頑張れと言っているに過ぎないのだから。

私は、クレームや品質事故が起こったときこそ、品質保証の力の見せ所だと思います。

それをきっかけにして、仕組み上の悪さ、組織風土を変えるきっかけになければならないと思うのです。いかにマウントを取るのかということです。それが私の考える「守りから攻めの品質保証」です。